第170章 余計なことをする

有村母は、自分が重んじられているのを肌で感じると、胸の奥がむず痒いほど得意になった。普段なら、彼女の立場で松山社長に会うことすら難しい。そもそも相手にされないはずだ。だが藤原和樹に付き添って来ただけで、松山社長は自分から挨拶し、しかもこの上なく丁重な態度を見せている。

――私、いま上流の人間として扱われてる。

そう思った途端、有村母の背筋はぴんと伸び、声まで一段と大きくなる。根拠のない自信が全身を満たしていった。

「和樹様、有村さん、有村夫人。どうぞ奥のお席へ!」

松山社長は藤原和樹たちを連れ、高台へとまっすぐ案内したうえで、自分の席まで譲った。

藤原和樹たちは大切な客だ。松山社長...

ログインして続きを読む